2008年10月31日金曜日

顎関節症

①歯並びが悪いと顎関節症になる。
②顎関節症を治したいから歯並びを治す。
③顎関節症の人は歯並びは治せない。

最近、よく相談されます。

①は△、②も△、③は×が答えです。

顎関節症は非常に原因の特定が難しい病気です。

生活環境や精神状態、顎の筋肉の疲労や関節の形、かみ合わせや噛み癖、など多くの因子がその発症に関与します。
「高校生が顎関節症気味になって、受験が終わったらすっかり治ってしまった。」とか、「妊婦の方が出産が終わったら治ってしまった」とか、「朝起きたら、突然治っていた」とか、「子供に手がかからなくなったら治った」とか、「職場を変わったら治った」とか、そんなことがあるのが、顎関節症です。

歯並びはその多くの原因の中の“一つの要因”ではありますが“一つの要因”にすぎません。

①の「歯並びが悪いから顎関節症になった」は正しいかもしれませんし、間違っているかもしれません。歯並びが原因であれば、矯正治療で顎関節症も治るでしょう。ですが、歯並びを治しても、治らない可能性も残念ながらあります。歯並びが悪くても顎関節症でない方も大勢いるわけですから。

そういった理由から②の「顎関節症の治療を目的として歯並びを治す」も△です。顎関節症は治療が出来ます。具体的には、スプリント治療(マウスピース)や筋肉の電気によるマッサージがそのほとんどですが、顎関節症の程度によっては関節内を洗浄したり、手術をする場合も無いわけではありません。こういった治療で大部分は緩解します。

顎関節症があっても矯正治療は可能です。
矯正中に顎関節症が治ってしまう方もいますし、治らない方もいます。万が一、酷くなるようでしたら、歯の移動を一時期お休みすることも出来ます。

現在、顎関節症気味の方は

・とにかく安静にする。
・顎を無理に大きく開けたりは絶対にしない。
・あまり気にしない。

それでも酷くなるようでしたら、口腔外科の受診をお勧めいたします。