女性のプロ野球選手が活躍する漫画があります。
その主人公が水原勇気。
オリンピックなんかを見ても女性が活躍していますが、それはあくまでも女性は女性で行なう競技での場合。女性が男性に混じって戦うとなると話は別。
体格的にも体力的にもどうしてもハンディがあり、厳しい場合が多いようです。
記憶にあるところでは、F1にアマティなんて女性のドライバーがいましたし、6大学にも女性の投手がいました。競馬の騎手でも女性がいますし、プロ野球の入団試験を受験した女性もかつてはいました。ですが、やっぱり苦戦は避けられません。
この度、なんと初の女性のプロ野球選手が誕生しました。
これは、みなさんがテレビで見ている“プロ野球”(ジャイアンツとかいるやつ)ではなくて独立リーグです。独立リーグとは前記のリーグとは別の組織ではあるが、野球でお給料がもらえる立派なプロ選手。この組織の「神戸9クルーズ」から入団の指名を受けたそうです。これは歴史的快挙なんです。なにせ、漫画でしか起こり得なかった事が起こったんですから。言い方を変えると、漫画になるくらいあり得ないことだって事ですよ。
おそらく彼女は、男性より脚は遅いでしょう。体格は小さいでしょう。スタミナも無いでしょう。球も遅いでしょう。力もないでしょう。
そんな彼女がなぜ指名されたか?
彼女には“魔球”があるんです。
魔球ナックルボールが彼女にはあるんです。私もかなりの野球通ですが、ナックルボールを武器にしたプロ野球選手はほとんど知りません。たまーに外国人が投げる程度で。ナックルは左右に揺れながら落ちるボールです。魔球と言われる位ですから、バッターにとっては非常に打ちづらい。ただ、ナックルには弱点も多いんです。
①投げてみないと、ピッチャーでもどこに球が行くか分からない。
②キャッチャーが獲れない。
③球が遅いのでランナーが出たら盗塁し放題。
④変化が風や湿度の影響を受けやすい。
など、弱点は枚挙に暇が無い。それゆえに投げる投手がいなくなったのがナックルです。
彼女はおそらく、体力的に男性にかなわないのが分かっていたから、他の人と違うことをマスターしようと、ナックルを投げ始めたのではないでしょうか(推測)
漫画で活躍した水原勇気の設定は左投げのアンダースローという、こちらも極めて珍しいピッチングスタイルでした。作家の水島新司さんも、男性と同じことをしていてはやっていけないと考えてそういう設定にしたのでしょう。
そういった意味でも、水原勇気を地で行く吉田えりさんには頑張ってもらいたいです。魔球で男性をきりきり舞いさせる姿は想像するだけで痛快です。