2008年12月19日金曜日

3歳の反対咬合

先日、3歳児の反対咬合(受け口)の治療についてのセミナーに参加してきました。その要点を報告いたします。

3歳時健診で受け口を診断され、心配になって相談に来られる方がいらっしゃいます。その場合の治療のポイントを御説明いたします。

①3歳で治療は必要か?3歳で治療は可能か?

以前は治療は必要ありません、とされておりました。それは低年齢児に使用できる装置がなかったからです。
しかし、3歳児の反対咬合が自然治癒する率は6%しかないことが研究で明らかにされました。
それに伴い、最近『ムーシールド』という装置が開発されました。これは非常にシンプルで3歳から使用出来る装置です。当クリニックではこれを使用した治療を推奨しております。

②上顎の出っ歯と反対咬合ではどちらが早くから治療をするべきだと思いますか?

答えは反対咬合です。下顎は身長の伸びと関係があるため、これから大きく伸びてきます。下顎が伸びる時期に前歯の咬み合わせが逆であると、下顎は伸び放題に伸びてしまい、反対咬合は悪化します。今の時期に、前歯を正しい咬みあわせにしてあげることで、下顎の伸びを上の前歯が抑えてくれるのです。逆に上顎の出っ歯の場合は下顎がこれから伸びるために、方向性としては、良い方向に進むわけであり、慌てて治療を開始しなくても良いのです。

③遺伝

反対咬合は残念ながら遺伝の場合が多いです。反対咬合にも2種類あって、1)骨格によるもの、2)歯によるものがあります。1)の骨格によるものは、大部分は遺伝であり、この場合の治療は難しいです。とりあえず今の時期に前歯の咬み合せを正しくしておくことは必要ですが、骨格が原因である(ご家族に反対のかみ合わせの方がいる)と将来は下顎がグンと伸びてしまう可能性はあります。人間の成長を完全に抑制する事はなかなか難しいのが現状です。逆に2)のケースであれば、今のうちに前歯を治すと、そのまま落ち着いてくることも多いです。

治療は基本的にご自分で取り外しの出来る装置(マウスピースのようなもの)を使用します。まずは前歯を改善することが大目標になります。通院は1~2月に1回15分程度になります。

これがその『ムーシールド』という装置です。
これを基本的には就寝時に使用していただきます。
きちんと使用すれば、およそ1年弱で効果が出てきます。

















12/29(月)~1/8(木)まで休診とさせていただきます。
1/9(金)からは通常通り診療いたします。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。