2025年12月29日月曜日

何が正しいのかを自分で考えよう

先日、相談に来ていただきました患者さんです。
個人が特定できないように、一方向の写真しか載せられませんが、こんな感じです。

これを見て一般の方や矯正治療の知識がない方、が何も感じないのは当たり前です。

でも僕らは違います。
この一枚の写真だけで、下顎の歯は抜きにくいなとか、上の歯を抜いても結構厳しい症例だな、とかを感じるわけなんです。

ここで問題なのは、
この患者さんはこれまで3件の歯科医院に矯正相談に行っており、
「3件すべての歯科医院で非抜歯での矯正治療を勧められた」
という事実です。

どこの歯科医院に相談に行ったかとかそういった情報は一切聞いておりませんので、はっきりと言いますが、この患者さんの主訴が「前歯が出ているのを気にしている」かつ「抜歯に対して抵抗はない」という時点で、この症例を非抜歯で治療することは間違いなのです。

治療方針に正解はないです。

私は、治療方針というものは
「患者さんの意向とドクターの知識の中で、最もメリットが多くて最もデメリットが少ない治療法をチョイスするべき」
だと思っていますが、これを非抜歯で治療して前歯を下げようというのはあまりにもお粗末な治療計画であると言わざるを得ません。

どういう矯正治療の教育を受けたらこれを非抜歯で治療するという発想になるのか、あるいは何も考えていないのか、もしくはそもそも知識がないのか。

インビザラインのような一般歯科でも矯正治療が出来るということがウリの安易な治療方法が使われるようになってから、正しいかみ合わせの位置や矯正治療の専門知識や経験がない歯科医が矯正治療を始めています。

結局、この患者さんはその後いらしておりませんので、どこかで非抜歯で治療をしているのかもしれません。その治療では前歯なんか下がりませんよ。嘆かわしいです。

今年の診療は終了いたしました。

新年は1/7から通常通り診療を開始いたします。
良いお年をお迎えください。

I'll see you again next time !